2025年11月8日、インターネット上で非常に深刻な問題が持ち上がり、世界中から厳しい視線が注がれています。インドネシアで圧倒的な影響力を持つ、チャンネル登録者数1160万人(2025年11月時点)を誇るYouTuberが、ある動画の中で使用した「背景の装飾」が原因でした。
その装飾とは、1988年から1989年にかけて日本で発生し、社会を震撼させた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の被害者女性の写真だったのです。この事実は瞬く間にSNSで拡散され、「被害者の尊厳を踏みにじる行為だ」として、国境を越えた大規模な炎上騒動へと発展しています。
このYouTuberは「ネッシー・ジャッジ(Nessie Judge)」さんという方です。多くの方が今、強い憤りとともに、このような疑問を抱いているのではないでしょうか。「なぜ彼女はそんなことをしたのか?」「一体どういうつもりだったのか?」「彼女は一体何者なのか?」そして「この動画にゲスト出演し、騒動に巻き込まれてしまったK-POPグループ・NCT DREAMとは?」
今回の記事では、この非常にデリケートで重大な問題について、その経緯の全てを時系列で詳細に追いかけます。さらに、ネッシー・ジャッジさんの人物像、彼女の学歴やこれまでの経歴、結婚や子供の有無といった私生活に至るまで、現在報じられている情報を徹底的に調査しました。また、この問題の根底にある、日本の犯罪史上でも類を見ないほど悲惨な「女子高生コンクリート詰め殺人事件」とはどのような事件だったのか、その全貌と加害者たちのその後、社会に与えた影響についても、詳細な記録に基づき、改めて深く掘り下げていきます。そして、都市伝説や実際の犯罪を取り扱う「トゥルークライム」系コンテンツが抱える倫理的な課題についても、独自の視点で分析・考察します。
ネッシージャッジさんが被害者写真使用で炎上した経緯。NCT DREAM共演動画で何があったのか
今回の騒動は、2025年11月2日に公開された一本の動画から始まりました。登録者1160万人という巨大な影響力を持つチャンネルで、一体何が起こったのでしょうか。その詳細な経緯を、時間軸に沿って丁寧に見ていきます。
問題となった「NCT DREAM」ゲスト出演動画
問題の発端となったのは、ネッシー・ジャッジ(Nessie Judge)さんが自身のYouTubeチャンネルで運営している大人気の看板コーナー「NERROR」の企画動画でした。この「NERROR」というシリーズは、世界中の都市伝説、未解決のミステリー、そして実際に起きた犯罪事件(トゥルークライム)などを取り上げ、ネッシー・ジャッジさん独自の語り口で紹介する内容で、彼女の人気を不動のものにしてきた企画です。
そして、2025年11月2日に公開されたこの回の動画には、極めて特別なゲストが出演していました。それが、韓国の大手芸能事務所SMエンタテインメントに所属する、世界的な人気を誇るボーイズグループ「NCT DREAM」さんだったのです。インドネシアのトップYouTuberと、グローバルなK-POPスターの共演。この動画は公開前から大きな注目を集め、多くのファンが視聴しました。
動画の内容は、NCT DREAMのメンバーを交えて都市伝説などについて語り合うという、一見すると和やかなものでした。しかし、視聴者の目は、スタジオの「ある一点」に釘付けとなりました。
壁に飾られていた「被害者女性の写真」という重大な問題
視聴者が問題視し、強い衝撃を受けたのは、動画が撮影されたスタジオセットの「壁面」でした。その壁には、ホラーやミステリーといった企画の雰囲気を演出するためか、複数の額装された写真や絵が飾られていました。その中に、一枚のモノクロ写真があったのです。
その写真は、目に黒い線が入れられた状態ではありましたが、紛れもなく、1988年から1989年にかけて日本で発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の被害者となった、当時17歳の女性の写真でした。
この事実は、動画を視聴した日本の視聴者や、事件の概要を知る海外の視聴者によって即座に特定され、X(旧Twitter)などのSNSを通じて爆発的に拡散されました。「なぜ、あの日本で最も悲惨と言われる事件の被害者の写真を、エンターテイメント動画の背景装飾として、まるで小道具のように使うのか」「信じられない」「あまりにも倫理観が欠如している」と、日本国内だけでなく、事件の概要を知る世界中の人々から、深い悲しみと怒り、そして厳しい非難の声が殺到する事態となったのです。
ネッシージャッジさんの謝罪と「理解した上で使用」という釈明
世界中からの凄まじい批判を受け、ネッシー・ジャッジさんは自身のX(旧Twitter)アカウントを通じて、謝罪の意を表明しました。彼女はまず、「誤解を招いてしまったことについてお詫びします」と切り出しました。そして、「これだけを切り離して見ると、どれほど悪質か分かります。次回からはもっと注意します」と述べ、配慮が足りなかった点を認める姿勢を見せました。
さらに、「誰かを傷つけたり、ましてや誰かを侮辱するつもりは全くありませんでした。本当に申し訳ありません」と、侮辱の意図はなかったと釈明しました。
しかし、この謝罪文の中で、さらに人々を驚かせ、そして失望させる事実が明らかになります。ネッシー・ジャッジさん側は、あの写真が「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の被害者女性のものであると、明確に理解した上で使用していたことを認めたのです。
彼女は、なぜその写真を意図的に使用したのか、その理由についても説明しています。その内容は、以下の通りです。
- まず、一部で指摘されていた「ハロウィーンの装飾のために使われた」という見方については、明確に否定しました。その写真は今回の動画のためだけに用意されたものではなく、以前からスタジオに飾られていたものであると主張しました。
- 使用した目的については、彼女のチャンネルのメイン企画である「NERROR」というコーナー、つまり都市伝説や犯罪事件を扱う企画全体への「オマージュ(敬意)」として設置したものだと説明しました。
- さらに、「そんな浅い理由でこの写真を使用していない」と強調。この「女子高生コンクリート詰め殺人事件」は、彼女のチャンネルの視聴者から取り上げてほしいというリクエストが非常に多く寄せられていたテーマであり、近いうちに「NERROR」でこの事件を特集する予定があったため、その一環として写真を設置していた、と主張したのです。
この釈明は、火に油を注ぐ結果となりました。「特集する予定だからといって、被害者の写真を敬意もなく飾ることが許されるのか」「オマージュという言葉の使い方を間違えている」「事件をコンテンツとして消費することしか考えていない」と、彼女の倫理観そのものを問う声がさらに強まりました。
炎上が止まらない理由。削除後の不可解な対応
ネッシー・ジャッジさんは謝罪の言葉を述べましたが、批判の嵐は一向に止む気配がありません。その最大の理由は、謝罪後の彼女の不可解な対応にあります。
まず、NCT DREAMさんがゲスト出演した問題のメイン動画は、批判を受けてYouTube上から削除(あるいは非公開に)されました。これは当然の措置と言えるでしょう。
しかし、その後、彼女は自身のInstagramのストーリー機能(一定時間で消える投稿)で、ファンに向けて次のようなコメントを発信したのです。「心配しないで、(削除された)動画はまた復活する。再編集中」。この発言は、問題の重大さを全く理解していない、あるいは反省していない証拠だと受け取られました。「再編集すれば問題ない」と考えているかのような態度は、被害者やそのご遺族の感情を逆撫でしました。
さらに、メイン動画は削除された一方で、問題の写真が背景に映り込んでいる可能性のある短い動画(ショート動画など)は、削除されずに各SNS上で公開されたままの状態が続きました。この一貫性のない対応も、「本気で反省しているとは思えない」「被害者の尊厳を軽視している」という批判を加速させる要因となりました。
また、ゲストとして出演したNCT DREAMさんに対しても、「彼らは何も知らなかったはずだ」「こんな深刻な問題に彼らを巻き込むな」といった、ファンからの擁護と怒りの声が上がっています。
ネッシージャッジさんとは何者?その驚くべき学歴・経歴を徹底調査
今回、これほどまでに大規模な国際的炎上の渦中に立たされてしまったネッシー・ジャッジさんとは、一体どのような人物なのでしょうか。インドネシアで絶大な人気を誇る彼女のプロフィールや経歴について、報じられている情報を基に詳しく調査しました。
ネッシージャッジさんのプロフィールと驚きの学歴
ネッシー・ジャッジ(Nessie Judge)さんは、インドネシアを拠点として活動している女性YouTuberです。彼女の本名は、Nasreen Anisputri Judge さんと言います。インドネシア国内では、トップクラスのインフルエンサーとして広く知られた存在です。
彼女の経歴で特に注目されるのが、その優れた学歴です。彼女はインドネシアのジャカルタにある名門ビジネススクール「IPMI International Business School」で学んだとされています。IPMIは、インドネシアにおけるビジネス教育の先駆け的な存在として知られています。
さらに驚くべきことに、一部の報道によれば、彼女はフランスのグランゼコール(高等専門教育機関)の一つであり、ヨーロッパでもトップクラスの評価を受ける名門ビジネススクール「Audencia Business School」でMBA(経営学修士号)を取得したとも言われています。これが事実であれば、彼女は単なる人気YouTuberというだけでなく、国際的なビジネスエリートとしての側面も持つ、非常に優秀な才女であることがうかがえます。
彼女の動画における巧みなストーリーテリングや、複雑な事件を解説する構成力は、こうした高等教育で培われた論理的思考やプレゼンテーション能力に基づいているのかもしれません。
YouTubeでの活動内容「NERROR」とは?
ネッシー・ジャッジさんのYouTubeチャンネルは、前述の通り、登録者数1160万人(2025年11月時点)という驚異的な数字を誇ります。これは、インドネシアの総人口(約2億7千万人)から考えても、いかに彼女が国民的な影響力を持っているかが分かる数字です。
彼女の活動の中心であり、人気を確立したのが、今回問題となった「NERROR」というシリーズです。これは「Nessie Horror」の略とも言われています。このシリーズでは、世界中で起きた不可解な出来事、背筋が寒くなるような都市伝説、未解決事件、そして実際に起きた凶悪犯罪(トゥルークライム)などを、彼女独自の視点と語り口で深く掘り下げて紹介していきます。
ホラーやミステリー要素の強い演出、視聴者の好奇心を刺激するテーマ設定、そして彼女の知的な解説が組み合わさり、多くの視聴者を惹きつけてきました。今回の炎上は、まさにこの「トゥルークライム」という、実際の犯罪事件をエンターテイメントとして扱うコンテンツの性質が、決して越えてはならない倫理的なラインを大きく逸脱してしまったことが、根本的な原因であると言えるでしょう。
ネッシージャッジさんの私生活。結婚した夫や子供の存在が明らかに
国際的な炎上の当事者となったネッシー・ジャッジさんですが、その私生活(プライベート)についても多くの関心が集まっています。彼女は結婚しており、最近母親になったばかりでした。
2024年に結婚。夫はどんな人?
報じられている情報によれば、ネッシー・ジャッジさんは2024年2月に結婚しています。結婚式はジャカルタ市内のホテルで盛大に行われたようです。
彼女の夫となったのは、Andryan Gama さんという男性です。彼の職業や経歴についての詳細は公表されていませんが、ネッシーさんのSNSなどにはツーショット写真が投稿されることもあり、非常に幸せそうな結婚生活を送っている様子がうかがえます。
2025年に第一子となる子供(女児)が誕生
さらに、ネッシー・ジャッジさんと夫のAndryan Gamaさんの間には、2025年に第一子となる子供が誕生しています。赤ちゃんの性別は女の子で、名前は Alaia C. Gama ちゃんというそうです。
彼女は自身のInstagramなどで、出産したことや愛娘の写真を(顔を隠すなどの配慮をしつつ)公開しており、多くのファンから祝福のメッセージが寄せられていました。
YouTuberとして、そして妻として、さらに母親として、公私ともに順風満帆なキャリアを歩んでいるように見えた矢先、今回の深刻な炎上騒動が発生したことになります。
ネッシージャッジさんの過去の炎上歴は?今回が初めてではない?
これほどまでに絶大な人気と影響力を持つYouTuberであるネッシー・ジャッジさんですが、過去にも「炎上」や「物議」を醸したことはあったのでしょうか。今回の事件が突出して深刻であることは間違いありませんが、過去の事例についても調査しました。
調査したところ、今回のような国際的な非難を浴びるほどの大規模なものではありませんが、過去にもいくつかの小規模な騒動が確認できました。
2023年:音声の無断流用疑惑
過去の動画コンテンツにおいて、インドネシア国内の別のポッドキャスト番組の音源を無断で使用したのではないか、という疑惑が持ち上がったことがあります。この時は、権利関係の確認不足や制作チームのミスであった可能性が指摘され、ネッシー・ジャッジさん側が謝罪する事態となりました。
2022年:人気ホラー作品への感想をめぐる賛否
ある人気のホラー作品(映画かゲームかは不明)について、彼女が動画内で述べた感想や評価の表現をめぐり、その作品のファンの間で賛否両論が巻き起こり、物議を醸したことがあったようです。これは、作品解釈の違いによる小規模な論争の範囲内であったとみられています。
これらの過去の事例と比較しても、今回の「被害者女性の写真使用」問題は、その倫理的な問題の深刻さ、被害者の尊厳の侵害という点で、全く次元の異なる重大な事件であることは明らかです。過去の小さな騒動とは異なり、今回は彼女のクリエイター生命そのものに関わるほどの危機的な状況と言えるでしょう。
ゲスト出演した「NCT DREAM」とは。巻き込まれた人気グループのプロフィール
今回の動画にゲストとして出演し、意図せず騒動に巻き込まれる形となってしまった「NCT DREAM」さんについても、改めて確認しておきましょう。彼らは世界的に活躍するK-POPグループです。
NCT DREAM(エヌシーティー ドリーム)は、韓国の大手芸能事務所であるSMエンタテインメントに所属する、7人組のボーイズグループです。「NCT」という、メンバーの加入や編成が流動的な(あるいは、多数のユニットで構成される)大規模なグループプロジェクトから派生したユニットの一つとして、2016年に結成されました。
当初は10代のメンバーで構成され、「成長」をテーマに活動していましたが、メンバー全員が成人した現在は、より成熟したパフォーマンスと多彩な音楽性で、アジア全域はもちろん、北米やヨーロッパなど、世界的に絶大な人気を誇っています。
現在のメンバーは、以下の7名です(2025年11月時点)。
- MARK(マーク)さん
- RENJUN(ロンジュン)さん
- JENO(ジェノ)さん
- HAECHAN(ヘチャン)さん
- JAEMIN(ジェミン)さん
- CHENLE(チョンロ)さん
- JISUNG(チソン)さん
彼ら自身は、スタジオの背景にどのような写真が飾られていたかについて、収録時点でおそらく認識していなかった可能性が極めて高いと考えられます。しかし、結果として彼らの出演動画が国際的な非難の対象となったことで、ファンからは「NCT DREAMのイメージが傷つけられた」「彼らをこんな問題に巻き込まないでほしい」といった、ホストであるネッシー・ジャッジさん側への強い抗議の声が多数上がっています。人気グループが出演していたからこそ、問題の拡散がより早まり、騒動が大きくなった側面もあると言えます。
都市伝説系・トゥルークライム系YouTuberが抱える倫理的な課題とは
今回のネッシー・ジャッジさんの炎上騒動は、彼女個人の倫理観の欠如が根本的な原因であることは間違いありません。しかし同時に、これは彼女一人の問題ではなく、「都市伝説」や「トゥルークライム(実際の犯罪)」を扱うYouTubeコンテンツが、その人気と引き換えに共通して抱えている、構造的で深刻な倫理的課題を浮き彫りにしています。
被害者の尊厳よりも優先される「エンターテイメント性」
「トゥルークライム」コンテンツが扱うのは、実際に起きた犯罪事件です。そこには、理不尽に命を奪われた被害者の方や、今もなお深い悲しみと苦しみの中にいるご遺族、関係者の方々が実在します。
こうした題材を扱う上で、最も優先され、最大限の配慮が払われるべきは、言うまでもなく被害者の方々の「尊厳」です。しかし、YouTubeというプラットフォームの特性上、より多くの視聴回数を獲得し、チャンネルを成長させるためには、いかに視聴者の興味を引き、センセーショナルに、いかに刺激的に見せるかという「エンターテイメント性」が優先されてしまいがちです。
事件の悲惨さを強調する過度な演出、視聴者の好奇心を煽るようなサムネイルやタイトル、そして今回のような、被害者女性の写真を「ホラーな雰囲気作り」の小道具として背景に飾るという行為。これらは全て、被害者の尊厳を二の次、三の次にした結果であり、実際の事件を単なる「消費される物語」として扱っていることの表れです。この倫理観の麻痺こそが、このジャンルが抱える最大の病巣と言えるでしょう。
情報の正確性と文脈の欠如がもたらす二次被害
都市伝説や犯罪事件を紹介するコンテンツでは、その情報の「正確性」も常に問われます。しかし、エンターテイメント性を追求するあまり、事実確認(ファクトチェック)が不十分なまま、あるいは意図的に事実の一部分だけを切り取って、センセーショナルな解釈を加えて拡散されるケースが後を絶ちません。
特に深刻なのは、事件とは全く無関係の人々を「犯人ではないか」と仄めかしたり、憶測で結びつけたりすることです。これは、単なる情報の間違いでは済まされず、対象となった人々の社会的な信用や人生を破壊しかねない、深刻な「二次被害」を生み出します。
後述する「スマイリーキクチ中傷被害事件」は、まさにこうしたネット上の無責任な憶測やデマが、一人の人間の人生をいかに長期間にわたって脅かし続けるかを示す、象徴的な事例です。
ネッシー・ジャッジさんが、今回の事件を「視聴者からのリクエストが多かったから特集する予定だった」と釈明したことは、彼女がこの事件を「人気コンテンツのネタ」の一つとして捉えていた可能性を示唆しています。そのような認識で制作される特集が、果たして被害者の尊厳や情報の正確性に十分配慮したものになったのか、私たちは強い疑問を持たざるを得ません。
女子高生コンクリート詰め殺人事件とは。あまりに悲惨な事件の概要と社会的影響
今回、ネッシー・ジャッジさんがその被害者女性の写真を動画に無神経に使用したことで、再び多くの人々の記憶に呼び起こされた「女子高生コンクリート詰め殺人事件」。これは、日本の犯罪史において、その残忍さと非道さから「史上最悪の少年犯罪」の一つとして刻まれている事件です。なぜこの事件がこれほどまでに社会を震撼させ、今なお多くの人々に語り継がれるのか。そのあまりにも悲惨な事件の概要と、社会に与えた影響について、詳細な記録に基づき、改めて深く掘り下げます。(以下の記述は、事件の性質上、非常に痛ましい内容を含みます。ご注意ください。)
1988年から1989年に起きた凶悪少年犯罪
この事件は、1988年(昭和63年)11月25日の夕方から、年をまたいだ1989年(昭和64年、※昭和天皇崩御により1月8日から平成元年)1月5日にかけて発生しました。昭和という時代がまさに終わろうとしていた、その瀬戸際で起きた凶悪犯罪でした。
被害者となったのは、埼玉県立八潮南高等学校の3年生、当時17歳の女子高生でした。彼女は卒業後の就職も内定し、友人との卒業旅行の費用を貯めるため、真面目にアルバイトに励んでいました。
事件が始まったのは1988年11月25日の夕方。彼女が埼玉県三郷市内でアルバイト先から自転車で帰宅していたところ、不良少年グループ(主犯格とされる少年A当時18歳、少年B当時17歳、少年C当時16歳、少年D当時17歳)に目をつけられます。
犯行の経緯 – 悪意に満ちた拉致
少年Aと少年Cは、当初ひったくりか強姦目的でバイクで徘徊していました。Aの指示でCが、被害者女性を自転車ごと蹴り倒し、側溝に転倒させます。Cがその場を離れた後、Aは犯行仲間であることを隠し、「今、蹴飛ばしたのは気違いだ」「危ないから送ってやる」などと親切を装って彼女に近づき、信用させました。
しかし、それは残酷な罠でした。Aは近くの倉庫に彼女を連れ込むと態度を一変させ、「自分はヤクザだ」「声を上げたら殺すぞ」と脅迫し、強姦。さらに、仲間の少年Bらと合流すると、「お前はヤクザに狙われている。仲間がお前の家の前をうろうろしているから匿ってやる」と、さらなる嘘を重ねて彼女を脅し、恐怖で支配しました。
そして、少年グループの「たまり場」となっていた、東京都足立区綾瀬にある少年Cの自宅の2階、わずか6畳の部屋へと彼女を拉致しました。これが、約40日間にわたる、地獄のような監禁生活の始まりでした。
少年Cの自宅は、両親が共働きで帰宅が遅く、さらにCによる激しい家庭内暴力から両親がCを監督できていない状態でした。Cの部屋は不良少年たちの「たまり場」と化しており、外部の目から完全に隔離された、異常な閉鎖空間が形成されていたのです。これが、長期間にわたる監禁を可能にした大きな要因の一つとみられています。
犯行の経緯 – 40日間の監禁と想像を絶する凌辱
監禁が始まると、主犯格の4人だけでなく、彼らの不良仲間である他の少年少女(十数人以上が暴行に関与したとされます)もC宅に出入りし、集団での暴行と凌辱が昼夜を問わずエスカレートしていきました。
被害者女性に加えられた行為は、人間の所業とは思えない、凄惨極まるものでした。詳細な記述はあまりにも痛ましいため控えますが、彼女は常に殴打され、身体の様々な部分にライターで火をつけられ、異物を挿入されるなど、想像を絶する肉体的・精神的な苦痛を受け続けました。
少年たちは、彼女が失禁するとそれを飲むよう強要したり、彼女の顔面が腫れ上がり変形したのを見て「でけえ顔になった」などと言って笑い合うなど、彼女の尊厳を徹底的に踏みにじりました。食事もほとんど与えられず、牛乳をわずかに与えられる程度で、彼女は栄養失調と度重なる暴力により、心身ともに極度の衰弱状態に陥っていきました。
12月初旬、彼女は一度、隙を見て警察へ通報しようと脱出を試みましたが、主犯格のAに見つかってしまいます。この「裏切り」に激怒した少年たちは、報復としてさらに激しい暴行を加え、彼女の足首にライターの火を押し付けて火傷を負わせるなどしました。この報復により、彼女は抵抗する気力さえも奪われていったとみられています。
12月末には、Cの両親が2階に女性がいることに気づき、一度は彼女を1階のリビングに降ろし、夕食を共にしています。Cの母親は彼女に「家に帰りなさい」と注意し、玄関から送り出したとされています。しかし、彼女が顔を殴られて腫れ上がっていたにもかかわらず、両親はそれ以上の介入をしませんでした。そして、彼女はすぐに少年Cらによって連れ戻されてしまいます。監禁場所の家主である親が介入できる唯一のチャンスでしたが、それは無情にも失われました。
衰弱しきった彼女は、年末頃には自力でトイレに行くことも困難になり、手足の火傷は膿みただれて異臭を放つようになりました。彼女は耐えかねて「もう殺して」と哀願することもあったとされています。
犯行の経緯 – 1989年1月4日、最期のリンチと殺害
年が明けた1989年(昭和64年)1月4日。主犯格の少年Aが、前夜から行っていた賭け麻雀で大敗した鬱憤を晴らすため、「久し振りに少女をいじめに行くか」と言い出し、少年たちがC宅に集まりました。
午前8時頃から、すでに極度の衰弱状態で横たわっていた彼女に対し、再び凄惨なリンチが開始されます。「ようかん」の呼び方をめぐって因縁をつけ、顔面を拳で殴り、足で蹴り、溶かした蝋(ろう)を顔に垂らしました。衰弱してほとんど反応を示さない彼女に対し、少年たちはさらに暴行をエスカレートさせます。
Aは総重量約1.74kgもある鉄製の練習器具(鉄アレイとも報じられた)を持ち出し、その鉄球部分でゴルフスイングのように彼女の太ももなどを力任せに殴打。Bらもそれに倣って殴り、鉄球を彼女の腹部めがけて落下させました。さらに、揮発性の油を彼女の太ももなどに注ぎ、ライターで火を点ける行為を繰り返しました。
この常軌を逸したリンチは、約2時間にわたって休みなく続けられました。少年たちが部屋を出る前、Aが「大丈夫か?」と尋ねると、彼女は途切れ途切れの声で「苦しいです」と答えたとされています。これが、彼女の最期の言葉となりました。彼女は同日午後、重篤な傷害により、監禁されていた部屋で静かに息を引き取りました。
犯行の経緯 – 死体遺棄と事件の発覚
翌1月5日、少年たちは彼女が死亡していることに気づきます。重大な事態に直面した彼らは、犯行の発覚を恐れ、遺体を遺棄することを計画。彼女の遺体を毛布で包んで旅行かばんに詰め、ドラム缶の中に入れました。そして、盗み出したセメントや砂でコンクリートを練り上げ、ドラム缶の中に流し込み、遺体をコンクリート詰めにしました。
同日夜、彼らはそのドラム缶をトラックで運び、東京都江東区若洲の埋立地(東京湾)に遺棄しました。
事件が発覚したのは、約3ヶ月後の1989年(平成元年)3月29日。少年Aらが別の婦女暴行事件で逮捕され、その取り調べの過程で、刑事から「人を殺しちゃダメじゃないか」と鎌をかけられたAが、このコンクリート詰め殺人事件について自供したためでした。供述に基づき現場が捜索され、ドラム缶に詰められた彼女の遺体が発見されました。
刑事裁判の経過と判決
主犯格の少年4人(A、B、C、D)は、殺人、わいせつ目的誘拐、監禁、強姦、死体遺棄などの罪で起訴されました。裁判では、殺意の有無(「未必の故意」が認定された)や、少年法の理念に基づき更生の余地をどれだけ認めるかが争点となりました。
- 第一審・東京地裁(1990年7月):
- 少年A:懲役17年(求刑・無期懲役)
- 少年B:懲役5年以上10年以下の不定期刑(求刑・懲役13年)
- 少年C:懲役4年以上6年以下の不定期刑
- 少年D:懲役3年以上4年以下の不定期刑
- 検察側控訴: 東京地検は「量刑が軽すぎる」として、少年犯罪の裁判では異例の控訴を行いました。
- 控訴審・東京高裁(1991年7月): 高裁は検察側の主張を一部認め、A・C・Dの3人について一審判決を破棄し、より重い刑を言い渡しました。
- 少年A:懲役20年
- 少年B:控訴棄却(懲役5年以上10年以下の不定期刑が維持)
- 少年C:懲役5年以上9年以下の不定期刑
- 少年D:懲役5年以上7年以下の不定期刑
- 上告審・最高裁(1992年7月): 少年Dのみが上告しましたが棄却され、4人全員の刑が確定しました。
加害者少年たちのその後。更生の道は
この事件が社会に与え続ける衝撃は、刑期を終えた加害者たちの「その後」によって、さらに増幅されることになります。彼らが社会復帰した後、再び罪を犯したケースが相次いで報じられたのです。
少年A(主犯格)のその後:
少年Aは、懲役20年の満期近くまで服役し、2009年に出所したとみられています。出所後は養子縁組をして改名したと報じられました。しかし、2013年1月、振り込め詐欺事件に関与したとして逮捕されました(この時は証拠不十分などで不起訴処分)。その後、再び別の詐欺事件に関与した疑いも報じられましたが、2025年現在の正確な消息は不明です。
少年Bのその後:
少年Bは、1999年に刑務所を出所しました。彼も養子縁組で姓を変え、一時はIT関連の仕事に就き、結婚もしたと報じられています。しかし、2004年5月、再び逮捕監禁致傷事件(三郷市逮捕監禁致傷事件)を起こして逮捕・起訴されました。この時、被害者男性に対し、自分が「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の加害者であることを脅し文句に使っていたとされ、その更生していない様子が厳しく批判されました。この事件で懲役4年の実刑判決を受け、2009年に二度目の出所をしました。しかし、その後の2022年7月16日、自宅アパートで事故死しているのが発見されたと報じられました。享年51でした。
少年Cのその後:
少年Cも出所後、2018年8月19日に埼玉県川口市の路上で、車両トラブルから通行人の男性の肩を警棒で殴り、首をナイフで刺そうとしたとして、殺人未遂容疑で緊急逮捕されました。この事件では、懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年の判決を受けています。
少年Dのその後:
少年Dは、1996年に刑務所を出所した後、自宅に引きこもるようになったと2001年に報じられています。その後、2021年5月に自宅で呼吸困難に陥り、病院へ搬送されましたが死亡が確認されたと報じられました。享年49でした。
このように、主犯格4人のうち3人が、出所後に再び犯罪やトラブル(うち2人は重大な再犯)を起こしているという現実は、少年法の理念である「更生」の難しさと、社会復帰のあり方について、重い課題を突きつけています。
事件の社会的影響 – メディア報道と実名報道問題
この事件は、メディア報道のあり方にも大きな一石を投じました。事件発覚当初、加害者が全員少年であったことから、少年法第61条の規定に基づき、新聞やテレビなどの大手メディアは彼らを匿名(少年A、Bなど)で報道しました。
その一方で、被害者女性については、実名や顔写真が一部メディアで報じられました。この「被害者の人権は晒され、加害者の人権は守られる」という状況に対し、世論からは「逆ではないか」と強い疑問と批判の声が上がりました。
こうした中、週刊誌の『週刊文春』は、「野獣に人権は無い」として、少年法への問題提起として加害者少年らの実名を報道しました。この実名報道は、日本弁護士連合会から「少年法の原則を無視した」と遺憾の意が示されるなど、大きな議論を巻き起こしました。この事件以降、凶悪な少年犯罪が発生するたびに、「少年法による匿名報道の是非」や「実名報道の必要性」が繰り返し議論されることになります。
事件の社会的影響 – スマイリーキクチ中傷被害事件
この事件は、全く無関係の第三者にも深刻な被害をもたらしました。お笑いタレントのスマイリーキクチさんが、インターネットの掲示板などで、「彼が事件の犯人グループの一員だった」あるいは「主犯格だ」とする、事実無根の悪質なデマを長期間にわたって書き込まれ続けたのです。
このデマは10年以上にわたって続き、スマイリーキクチさん本人や家族、関係者にまで脅迫や誹謗中傷が及び、彼のタレント活動にも深刻な支障をきたしました。これは「スマイリーキクチ中傷被害事件」と呼ばれ、ネット上のデマや誹謗中傷がいかに深刻な人権侵害であるかを社会に知らしめる象徴的な事件となりました。
このように、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」は、その事件自体の残忍さだけでなく、加害者の更生の失敗、メディア報道のあり方、そしてネット社会の闇という、現代社会が抱える多くの重い問題を内包した事件なのです。ネッシー・ジャッジさんが動画に使用したのは、このような、あまりにも重く、悲惨な歴史的背景を持つ事件の、被害者女性の写真でした。
ネッシージャッジさん炎上へのネット上の反応まとめ。世界中から寄せられる厳しい声
ネッシー・ジャッジさんが、この「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の被害者女性の写真を、NCT DREAMさんという世界的なスターがゲスト出演するエンターテイメント動画の背景装飾として使用した——。この事実は、世界中のインターネットユーザーにどのように受け止められたのでしょうか。寄せられた主な反応をまとめます。
まず、日本のSNSユーザーからは、当然ながら怒りと嫌悪感を示す声が圧倒的多数を占めました。
- 「謝罪で済む問題ではない。これは国際的な人権問題であり、被害者遺族の心情をあまりにも踏みにじる行為だ」
- 「『オマージュ』や『特集のため』という釈明が信じられない。なぜ被害者の写真をそのような軽薄な形で“演出”の道具として利用しようと思ったのか、その思考回路が理解に苦しむ」
- 「ゲストだったNCT DREAMのメンバーは、この写真が何なのか知らなかったはずだ。彼らをこんな不快な騒動に巻き込む形になったことも許せない」
また、注目すべきは、海外からの反応です。近年はTikTokなどのショート動画プラットフォームを通じて、この事件の概要が(センセーショナルな形で)海外にも拡散されており、事件の悲惨さを知る外国人も増えています。
- 「(海外のユーザーから)日本人ではない自分たちが見ても、これは酷すぎる。被害者への冒涜だ」
- 「トゥルークライムを扱うなら、最低限の敬意と倫理観を持つべきだ。彼女のやったことは最低だ」
- 「日本人じゃない人たちがすごく怒ってくれている。この事件の重さを考えると、日本人もこれは絶対に許してはいけない問題だ」
そして、多くの人々が共通して指摘していたのは、被害者女性が置かれたあまりにも理不尽な状況についてでした。
- 「あれだけ想像を絶するむごい目に遭い、命を奪われた。その上、加害者たちは(少年法などで)名前も顔も保護された期間があった」
- 「それとはあまりに対照的に、被害者女性は事件当時から名前や顔写真が報じられ、事件から30年以上が経過した今もなお、海外のYouTuberにエンタメ動画の装飾として無断で使用され、尊厳を踏みにじられ続けている」
- 「この状況はあまりにも報われない。被害者女性が安らかに眠れる日は来ないのか」
このように、ネッシー・ジャッジさんの行為は、単なる「不謹慎」や「配慮不足」という言葉で片付けられるレベルを遥かに超え、被害者女性の尊厳を二重、三重に深く傷つける行為であるとして、世界中から極めて厳しい非難が集中しているのです。
まとめ:コンテンツ制作者に求められる倫理観と事件への想像力
インドネシアのトップYouTuber、ネッシー・ジャッジさんが引き起こした今回の深刻な炎上事件。その発端は、チャンネル登録者1160万人という絶大な影響力を持つ彼女が、日本の犯罪史上最も痛ましい事件の一つである「女子高生コンクリート詰め殺人事件」の被害者女性の写真を、エンターテイメント動画の背景装飾として軽々しく使用したという、あまりにも配慮と敬意を欠いた実態にありました。
彼女は「NERROR」というトゥルークライムを扱う企画の一環であり、侮辱する意図はなかったと釈明しました。しかし、その釈明や「再編集中」といったその後の対応は、彼女がこの事件の重大性、そして被害者やご遺族が抱え続ける癒えることのない痛みを、どれほど軽視しているかを露呈させる結果となりました。
「トゥルークライム」というジャンルは、そのスリリングさやミステリアスさから、YouTubeにおいて世界的な人気コンテンツとなっています。しかし、忘れてはならないのは、そのコンテンツが扱う「事件」は、決してエンターテイメントの「ネタ」や「物語」ではないということです。それは、実際に理不尽に人生を奪われた被害者の方が存在し、今もなおその死を悼み、深い悲しみの中にいるご遺族がいる、紛れもない「現実」です。
コンテンツ制作者には、視聴回数や人気を獲得すること以上に、その「現実」に対する深い想像力と、被害者の尊厳を守るための強固な倫理観が、何よりも求められます。今回の事件は、国境を越えてコンテンツが流通する現代において、私たちが「事件」をどのように記憶し、どのように語り継ぐべきなのか、そして人間の尊厳とは何かという、非常に重い問いを突きつけていると言えるでしょう。


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